田中昌之の「声」をめぐっては、過去に衝撃的なエピソードがまことしやかに語られてきた。代表的なのが〈少年時代に野球のボールが喉を直撃して声が出なくなった〉というもの。この噂は2000年代からネット掲示板を中心に拡散し、あたかも公式の事実であるかのように扱われてきた。
実際のところ、田中本人がテレビ番組や雑誌インタビューで語ってきた内容を整理すると、少年期に喉を負傷したという明確な医学的記録は確認できない。一方で、歌手活動の初期から喉に過度な負担をかける歌唱法を続けてきたことは本人も認めており、1980年代後半には声帯ポリープや慢性的な喉の不調に悩まされていた時期があったと複数のメディアで報じられている。
つまり「声が出ない理由」は、単一の事故や特定の病気によるものではなく、長年の酷使による声帯の疲弊と、それに伴う発声法の変化が複合的に作用したものと考えるのが妥当だ。ネットで語られる「野球事故説」は、本人の経歴と結びついた都市伝説的な要素が強い。