一方で、インターネット上やSNSでは嗜好品に関して極端な二極論が飛び交いがちです。「無駄な出費を徹底的に削るために嗜好品は全廃すべき」という極端な蓄財至上主義の言説があるかと思えば、「心の健康のためならどれだけ摂取しても構わない」と野放図な自己消費を正当化する意見も散見されます。しかし、どちらの言説も重大なリスクを見落としています。
最も警戒すべき盲点は、嗜好品と依存症のリスクです。嗜好品がもたらす安らぎや高揚感は、脳内報酬系の直接的な刺激によって成り立っています。このシステムは、「摂取する → 快楽物質が出る → ストレスが一時的に消える」というループを形成しやすく、慢性的な過負荷にさらされている人ほど、摂取頻度や量をエスカレートさせてしまいがちです。
アルコール依存症やニコチン依存は古くから知られていますが、近年では「白砂糖・脂質の過剰摂取によるマイルドドラッグ状態」や、カフェイン製剤・エナジードリンクの過剰連用による急性中毒事例が医療現場から繰り返し警告されています。ネット上では「ただのお菓子やコーヒーだから大丈夫」と軽視されがちですが、耐性がついて「それがないと苛立って仕事が手につかない」状態に陥っているとすれば、それはもはや心の栄養ではなく、自律神経を人質に取られた状態と言わざるを得ません。