作中に登場する朴永植(日本名:新井)こと朴さんは、戦前の広島で中岡家の近所に暮らしていた在日朝鮮人の青年です。当時の日本社会は戦時体制下の国家主義に染まり、朝鮮半島出身者に対して日常的かつ苛烈な民族差別が公然と行われていました。
身寄りがなく、周囲から理不尽な侮蔑や暴力にさらされ孤立していた朴さんに対し、唯一対等な一人の人間として接したのがゲンの父・大吉でした。戦中、朴さんは日本の特高警察や周囲の偏見に脅かされながらも、中岡家の温かな眼差しを心の拠り所として生き抜いていきます。
被爆後は広島の焼け跡からいち早く立ち上がり、持ち前の商才と行動力で戦後の混乱期・闇市をたくましく生き抜く実力者へと成長。中岡家が最も困窮した時期に颯爽と現れ、ゲンたちの命の恩人となる重要キャラクターです。