「スーパーで買ったぼんじりを家で焼いたら、生臭くて食べられなかった」「独特のクセが強すぎて苦手意識を持った」という経験を持つ人は少なくありません。この独特な異臭の原因は肉そのものの劣化ではなく、「油壺(あぶらつぼ)」と呼ばれる分泌器官の残留にあります。
油壺とは、正式名称を「尾脂腺(びしせん)」と呼ぶ黄色い球状の器官です。鶏はここから分泌される油をくちばしで全身の羽に塗りつけ、雨水を弾く撥水性を保っています。この分泌油には強い野生臭・獣臭が含まれており、加熱すると脂全体に嫌な臭いが溶け出してしまいます。プロの焼き鳥職人が仕込みで最も神経を使うのが、この油壺の完全除去です。
【プロ直伝:失敗しない油壺の下処理3ステップ】
- 油壺の位置を確認する:ぼんじりの皮側(突起がある面)を上に向けると、先端の内側に左右1対(または2個)の黄色みがかった小さな丸い塊(小豆粒大)が埋まっています。
- 包丁またはキッチンバサミでえぐり出す:肉の中心に向かって浅く切り込みを入れ、黄色い油壺の袋を破かないように指先で押し出しながら包丁の刃先で切り落とします。
- 中心の軟骨・小骨を処理する:未処理のぼんじりには尾骨の硬い小骨が残っている場合があります。肉の中央に縦に刃を入れ、骨の感触を確かめながら削ぎ落とすか、切り開いて骨を取り除きます(軟骨のコリコリ感を残したい場合は硬い先端骨のみ除去)。
下処理を終えた後は、「酒大さじ1+塩ひとつまみ」を揉み込んで5分置き、表面のドリップをキッチンペーパーで徹底的に拭き取ります。このひと手間で水溶性の臭気成分が完全に抜かれ、驚くほど澄んだ脂の甘みだけが残ります。