地域に親しまれた大型温浴施設が、なぜこれほど急激に幕を下ろすことになったのでしょうか。行政文書の開示情報や町議会議事録の精査から、複合的な3つの要因が浮き彫りになります。
第一の要因は、基幹設備の老朽化と莫大な改修費用です。1990年代末(平成11年)の開業から20年以上が経過し、地下配管の腐食、大浴場の温泉循環ろ過装置、空調やボイラー設備の更新時期が一斉に到来しました。町が試算した全面改修費用は数億円規模に膨らみ、人口約4,800人の自治体財政にとって極めて重い負担となりました。
第二の要因は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う採算の急悪化です。感染防止のための入場制限や休業要請が相次ぎ、年間約20万人に達していた入館者数が激減。飲食・売店部門の売上蒸発が追い打ちをかけました。
第三の要因として、運営会社の事業継続断念が挙げられます。指定管理者制度のもとで管理を担っていた運営会社(木城町出資の第三セクター関連組織)は累積赤字の拡大に耐えかね、契約更新の継続を断念。町は新たな指定管理者の公募や民間譲渡を模索したものの、設備改修の負担がネックとなり、受け入れ先が決まらないまま休館措置へと追い込まれました。