スピンオフの醍醐味は、本編では「主人公を引き立てるスパイス」だったキャラクターの隠された人間味や知られざる過去が暴かれる点にあります。これまでに大きな反響を呼んだ日本ドラマのスピンオフ傑作選を振り返ると、成功作には共通した引力があります。
日本におけるテレビドラマのスピンオフブームを決定づけたのは、フジテレビの『踊る大捜査線』シリーズです。ユースケ・サンタマリア演じる真下正義を主役に据えた映画『交渉人 真下正義』(2005年興行収入42億円)、柳葉敏郎演じる室井管理官に焦点を当てた『容疑者 室井慎次』(同40.5億円)はいずれも大ヒットを記録しました。本編の世界観を壊すことなく、サスペンスや法廷劇といった異なるジャンルへ挑戦した好例です。
テレビ朝日の看板作『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』から派生した『ドクターY〜外科医・加地秀樹〜』も代表格です。勝村政信演じる「腹腔鏡の魔術師」加地秀樹の人間味あふれるケチさと医師としての矜持をコメディタッチで描き、配信ドラマから地上波特番へと逆輸入される異例のロングランシリーズへと成長しました。
漫画原作の実写化でも、映画・ドラマ『岸部露伴は動かない』(『ジョジョの奇妙な冒険』スピンオフ)が高橋一生主演で独自のミステリードラマとして絶賛を浴びるなど、脇役主人公ドラマ化は今や本編を凌駕する熱量を生み出すカルチャーとなっています。