親子丼の仕上がりを一段引き上げる鍵は、煮込む前の下ごしらえにあります。プロの調理現場では、肉の臭みを徹底的に排除し、短時間で味が染み込む工夫が施されています。
まず、鶏もも肉の下処理です。黄色い余分な脂肪や筋を包丁で丁寧に取り除き、厚みのある部分を開いて均一にしてから、包丁を斜めに寝かせて一口大の「削ぎ切り」にします。削ぎ切りにすることで断面の表面積が広がり、火通りが早くなると同時に、白だしの煮汁を短時間で芯まで吸い込ませることができます。肉のパサつきを防ぎたい場合は、煮る直前に小さじ1/2の酒とひとつまみの砂糖(分量外)を揉み込んでおくと、保水効果によって驚くほどジューシーに仕上がります。
次に玉ねぎの切り方です。繊維に沿って5mm幅にスライスすることで、シャキッとした食感を残しつつ自然な甘みを引き出せます。煮汁をフライパンに張り、玉ねぎを敷き詰めた上に鶏肉を重ならないように並べてから火にかけるのが鉄則です。鶏肉の皮目を下にして出汁に浸すことで、鶏の脂から出る旨味が煮汁全体へと綺麗に溶け出していきます。