2026年代に入ると、新型コロナウイルスのパンデミックという未曾有の危機が世界を襲った。対面での集客が不可能な時代を経て、日本の「体験型ビジネス」は根本的な再構築を余儀なくされた。そして、ブームの去った後の都市に残されたのは、「うわべだけの映え空間は一瞬で飽きられる」という冷徹な教訓だった。
表面的な背景と小道具を用意するだけのポップアップイベントは急速に淘汰された。消費者はもはや、写真一発のために高額な入場料を払うほど愚かではない。「写真映え」の価値は暴落し、代わりに求められるようになったのは、物語性(ストーリーテリング)、高いクオリティの接客、そして心からその世界観に没入できる「本物のクオリティ」だったのだ。あの騒動は、空間エンターテインメント業界にとって手痛い、しかし必要な脱皮のプロセスだった。