長年謎に包まれていた幻影旅団の結成背景は、原作395話〜397話で描かれた流星街の過去編によって白日の下に晒されました。その実態は、読者が想像していたような単なる快楽犯罪者集団の誕生ではなく、世界の不条理に対する凄惨な抵抗運動の産物でした。
少年時代のクロロは、ゴミ捨て場と呼ばれる流星街において、廃盤ビデオテープの吹き替え劇「清掃戦隊カタヅケンジャー」を仲間たちと上演する心優しいリーダーでした。ウボォーギン、マチ、フェイタン、フィンクス、フランクリン、パクノダらと共に、街の子どもたちへ笑顔を届ける劇団活動に生きがいを見出していたのです。
しかし、劇団の看板子役であった少女サラサの誘拐・猟奇的惨殺事件によって平和は崩壊します。外の世界から侵入した快楽殺人者グループによってサラサが無惨に引き裂かれ、ビデオメッセージとともに遺棄された現場を目の当たりにしたクロロは、流星街の無力さと社会の闇を痛感します。
報道関係者やファンコミュニティで大きな議論を呼んだのが、クロロが誓った以下の決意です。
「世界中の悪党が怯えて近づかないほどの、本物の極悪人になる」
流星街の住民は法的に存在しない人間(棄民)として扱われ、拉致や殺人の標的にされてきました。クロロたちは「自らが世界最悪の犯罪集団となり、悪名を轟かせることで、外の人間が流星街に手を出すのを抑止する」という、極端な防衛システムとして幻影旅団を結成したのです。
ここで再考を迫られるのが、クラピカの同胞を滅ぼした「クルタ族虐殺事件」の真相です。残されたメッセージ「我等何ものも拒まない だから我等から何も奪うな」は流星街の復讐スローガンですが、サラサ事件の犯人グループがクルタ族の里に潜伏していた可能性や、第4王子ツェリードニヒのような裏社会のコレクターが関与していた構図がファンの間で強く推測されています。旅団が実行犯である事実に変わりはないものの、単純な略奪以上の根深い因縁が背景に横たわっていることは明白です。