この現象を語る上で絶対にはずせない伝説的な人物がいる。「セーラー服おじさん」として世界的に知られるエンジニア、小林秀章氏だ。豊かな白い髭とセーラー服、そして可憐に結ばれたツインテールで都内の街角に現れる彼の姿は、道行く多くの人々に鮮烈な衝撃を与えた。
「好きな格好をして何が悪いのか」――彼が体現した圧倒的な自己肯定感と自由なスタンスは、周囲の視線を恐れていた若者たちの背中を強力に押した。世間の「男らしさ」という固定観念を爽やかに破壊した彼の存在こそが、今日のムーブメントにおける精神的支柱となったのは疑いようがない。