最上稲荷の信仰において、商売繁盛と並び全国的な知名度を誇るのが、本堂北側に位置する「縁の末社(えんのまっしゃ)」です。ここには、人間関係のトラブルや悪習慣との縁を断ち切る離別天王(りべつてんのう)と、新たな出会いや幸福な人間関係を呼び込む結縁天王(けちえんてんのう)が隣り合って祀られています。
古来より「悪縁を清算しないまま良縁を願っても、器に汚れが残っていれば水は濁る」と説かれており、最上稲荷では「まず離別天王で悪縁を断ち、その後に結縁天王で良縁を結ぶ」という両縁参りの手順が定められています。
現地で奉納されている絵馬や参拝者の証言を調査すると、恋愛問題にとどまらず「長年悩まされた持病との決別」「浪費癖やギャンブル依存からの脱却」「職場のハラスメント環境の解消」など、自らの生活改善に向けた切実な祈願が多数を占めています。縁を一方的に断ち切るだけでなく、その先の幸福な結びつきまでをワンセットで祈願できる構造が、多くの人々から信頼を集める理由です。