『クーザ』が世界中のサーカスファンを震撼させた最大の要因は、出演キャスト陣の驚異的な身体能力と、計算し尽くされた危険度の高い演目構成にあります。
その筆頭として語り草になっているのが、巨大な回転器具を用いた『ホイール・オブ・デス(Wheel of Death)』です。空間に吊るされた2つの巨大なカゴが高速回転する中、アーティストは命綱を一切つけず、カゴの外側を駆け抜け、空中で大ジャンプや縄跳びを披露します。時速40km近い回転速度と遠心力の中、わずかな足の滑りが致命傷になりかねない極限のパフォーマンスは、客席に悲鳴とスタンディングオベーションを同時に巻き起こしました。
ほかにも、数々の歴史的演目がステージを彩ります。
- ハイ・ワイヤー(綱渡り):地上数メートルの細いワイヤー上で、2段に組んだ自転車走行やフェンシング、椅子の上に立つバランス技を披露。張り詰めた静寂が会場を包みます。
- コントーション(軟体芸):人間の骨格の限界を超えた柔軟性を持つ女性パフォーマーたちが、ひとつの有機体のように絡み合いながら幻想的なポーズを形成。
- ティータートット(シーソー):巨大なシーソーの反動を利用し、竹馬を装着した状態で空中へ数回転跳躍して正確に着地する驚愕の空中アクロバット。
- クラウン・アクト:観客を容赦なくステージに引っ張り上げ、予測不能なハプニングと一流のパントマイムで会場全体を爆笑の渦に巻き込む道化師たちの至芸。
これら視覚の極致をさらに昇華させたのが、舞台奥のミュージシャンプラットフォームから放たれる生演奏のサウンドトラック(音楽)です。作曲家ジャン=フランソワ・コテが手掛けた楽曲群は、ファンク、ロック、ジャズ、さらには伝統的なインド音楽やボリウッド調のエスニックなリズムが融合。生ボーカルのハイトーンボイスと強烈なブラスセクションが、アクロバットの鼓動と完全にシンクロし、劇場全体をライブハウスのような熱気で満たしました。