日本全国が固唾をのんで見守ったこのレースは、NHK総合を通じて生中継され、お茶の間に大きな衝撃を与えた。画面から一瞬谷口の姿が消え、再び映し出された時にはズボンに泥をつけ、必死に前を追う姿があった。日本中が息をのむ中、レース後のインタビューで発せられた「途中で、こけちゃいました」という言葉は、視聴者の緊張を一瞬で和らげた。
金メダルを期待していた日本陸上競技連盟の幹部や関係者は当初、予期せぬトラブルによる失速に失望の色を隠せなかった。しかし、本人が一切の弁明をせず、爽快な笑みとともに現実を受け止めたことで、連盟内やメディアの空気は一変した。結果以上の「人間の器の大きさ」を見せた対応は、スポーツ界全体におけるリスクマネジメントやメディア対応の好例として再評価されている。