千葉県松戸市で生まれ育った那須川天心。幼少期の彼は、決して恵まれた体格を持っていたわけではない。しかし、この街での日常こそが、彼の圧倒的な反射神経と格闘センスを研ぎ澄ます実験場となった。
父・弘幸氏の指導のもと、地元の公園や自宅の小さなスペースで行われた特訓は凄絶を極めた。毎日の走り込みやミット打ちに加え、動く対象を瞬時に見極める動眼視力トレーニングが課されたという。江戸川沿いの土手を走り抜き、地元の風にあたりながら培った足腰は、後の俊敏なフットワークの根幹を形作った。松戸という平凡な都市の日常に潜んでいた異例の英才教育。それが、格闘技界を揺るがす天賦の才を拓く第一歩だった。