DNAと染色体の最大の違いは、「何でできているか(物質)」と「どんな形で存在しているか(構造)」のレイヤーにあります。中学生の理科でも触れる内容ですが、概念の階層が異なるため混同されやすいポイントです。
まず、DNA(デオキシリボ核酸)は化学物質の名称です。アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の塩基が並んだ、細長い「二重らせん構造」を持つヒモのような分子そのものを指します。この並び順(塩基配列)こそが、体を作るタンパク質の設計図となる遺伝情報です。
一方、染色体は、その長大なDNAのヒモが絡まらないよう、「ヒストン」と呼ばれる糸巻きのようなタンパク質に巻き付き、規則正しく折りたたまれてできた太い構造体を指します。顕微鏡で観察する際に特殊な塩基性色素でよく「染まる体(構造物)」であったことから、この名が付けられました。
つまり、関係性を一文で表すなら「染色体というパッケージの中に、DNAという実体がコンパクトに収納されている」となります。