『テルマエ・ロマエ』がこれほどまでに海外、とりわけヨーロッパ圏で高く評価される土台を築いたのは、原作者であるヤマザキマリ氏の卓越した国際感覚と歴史的教養です。10代でイタリアに渡りフィレンツェの美術学校で油絵と美術史を学んだ経歴を持つ同氏の視点は、単なる思いつきのギャグマンガとは一線を画す重厚さを作品に与えています。
フランスのアングレーム国際漫画祭でノミネートされるなど、原作漫画はヨーロッパ市場でも高いステータスを獲得しました。現地の批評家たちからは、古代ローマの階級社会や奴隷制度、政治闘争などのディテールが精緻に描き込まれている点が特筆されています。
「自国の文化を誇るだけでなく、他国の文化に対しても同等の敬意を払う姿勢」が物語の根底に流れていることが、外国人読者から信頼を勝ち得た決定的な要因です。平たい顔族(日本人)の細やかな技術を貪欲に学び取り、祖国ローマの発展に生かそうとするルシウスの向上心は、異文化交流の理想的なあり方として海外のインテリ層からも高く評価されました。