実際に自分の体を保存する場合、どれほどの費用がかかるのでしょうか。世界で最も知名度が高い米国のアリゾナ州にある非営利団体「アルコア延命財団(Alcor Life Extension Foundation)」や、同じく米国の「クライオニクス研究所(CI)」、ロシアの「クリオロス(KrioRus)」などが代表的な機関です。
アルコア延命財団における保存費用は、保存形態によって大きく2通りに分かれています。
・全身保存:約22万ドル(約3,300万〜3,500万円)
・神経保存(頭部・脳のみ):約8万ドル(約1,200万〜1,300万円)
※為替レートや管理信託基金の拠出金によって変動あり
頭部のみの保存が選ばれる理由は、将来的にクローン技術や再生医療、あるいは意識をデジタル空間やアンドロイドに移植する「マインドアップローディング」が実現すれば、脳さえ無事であれば肉体は再構築できるという思想に基づいています。多くの会員は一括で現金を支払うのではなく、自身が死亡した際に給付される生命保険の受取人を財団に指定するスキームを利用して費用を工面しています。
日本人の事例もすでに存在します。アルコア財団などの公式発表や関係者の証言によると、複数名の日本人会員が正式に契約を結んでおり、実際に亡くなった後に米国の施設へ搬送・保存されたケースも確認されています。日本国内で死亡した場合、現地の医師の協力のもと迅速に冷却処置と血液置換を行い、国際航空便でドライアイス詰めにして米国へ搬送するという極めてシビアな手順が踏まれます。