ビジュアル面での類似性が際立つ一方で、根底に流れる世界観と設定には決定的な違いが存在します。両者の構造的な差異を整理すると、それぞれの作品が持つ独自の魅力がより鮮明に浮かび上がります。
『マッドマックス』シリーズの荒廃は、エネルギー危機と資源の枯渇、社会システムの段階的な崩壊によって引き起こされたものです。人々が争うのは主に「石油(ガソリン)」と「水」であり、改造車によるハイスピードなカーチェイスと重火器による戦闘が物語の主軸となります。
対する『北斗の拳』は、199X年に発生した「核戦争」によって地球環境と文明が一瞬で灰燼に帰した世界です。テクノロジーや銃火器が衰退した結果、人間が生身で戦う東洋武術「北斗神拳」や「南斗聖拳」が最強の武力として君臨します。また、ケンシロウは単なる放浪者にとどまらず、民衆を救い導く「救世主」としての神話的な宿命を背負っている点も、徹底して虚無的で現実的なアンチヒーロー像を貫くマックスとの大きな違いです。