花魁映画の系譜において、ひときわ熱狂的な支持を集めた作品が、2014年公開の映画『花宵道中』です。原作は第5回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞と読者賞をダブル受賞した宮木あや子の同名連作短編小説。監督を豊島圭介が務め、江戸末期の吉原を舞台に純粋な愛と過酷な運命に翻弄される遊女たちの生々しい情念をフィルムに焼き付けました。
本作の最大の見どころは、主人公・朝霧を演じた安達祐実の魂を削るような演技です。芸歴30年を迎えた節目の年に、かつての国民的子役という強固なパブリックイメージを完全に払拭。初のフルヌードや大胆な濡れ場に果敢に挑み、肌の白さと引き立つ紅のコントラスト、内に秘めた情熱と孤独を見事に体現しました。
物語の核心において、朝霧は妹郎女の八津(津田寛治との絡みも秀逸な配役)を気遣いながらも、縁日で偶然出会った青年・半次郎(淵上泰史)と運命的な恋に落ちます。しかし、彼女を執拗に手に入れようとする冷徹な客・吉田屋(安田顕)の存在や、遊郭の掟が二人を容赦なく追い詰めていきます。終盤、降りしきる雪の中で繰り広げられる悲痛なラストシーンは、映画ファンの間で「息が止まるほど美しい」と絶賛され、映画レビューサイトでも息の長い高評価を獲得し続けています。