かつて市村正道は、妻の美幸と生まれたばかりの娘・育子とともに、ささやかだが満ち足りた日々を送っていた。しかし、不妊治療の末に授かった育子の離乳食拒否という悩みをきっかけに、穏やかだった歯車が急速に狂い始める。思いつめた美幸が頼ったのは、有機野菜の栽培や「自然の教え」を掲げる新興宗教「加護の会」だった。
最初は害のない健康志向のグループに見えた加護の会。だが、教祖・蓮田の存在が美幸を急速に洗脳していく。我が子の命を守りたい一心だったはずの美幸は、いつしか教団の教理に盲従し、娘にまともな食事を与えず、現代医療をも拒否するまでに追い詰められていった。家族を思う純粋な愛情が、教団の手によって巧みに歪められていく過程は、息を呑むほど恐ろしい。