では、なぜ「夢」に「灯籠」を組み合わせたタイトルが付けられたのでしょうか。その背景には、新海誠監督作品『君の名は。』の根底に流れるテーマと密接に結びついた制作の真相が存在します。
劇中において、主人公の瀧とヒロインの三葉は、眠っている間に互いの身体が入れ替わるという不思議な現象を体験します。目覚めるとその記憶はおぼろげになり、まるで夢を見ていたかのように輪郭を失っていくのが物語の重要な鍵です。この「夢現(ゆめうつつ)の不安定な世界」の中で、お互いの存在を手探りで追い求める姿を、暗闇の中でわずかに揺らめく「灯籠の光」に重ね合わせていると解釈できます。
灯籠は、ただ周囲を明るくするだけでなく、盆の精霊流しのように「迷える魂を導く道標」としての宗教的・精神的な役割も担ってきました。夢の中でしか逢えない二人が、記憶の暗闇に迷い込まないよう互いを照らし出す光――それこそが「夢灯籠」という言葉に託された真のメッセージなのです。