株式会社への移行手続きが容易であるにもかかわらず、あえて有限会社のまま事業を続ける経営者は少なくありません。そこには、実利とブランディングの両面で明確な合理的理由が存在します。
メリット1:役員変更登記のコストと手間が永久に不要
株式会社の場合、役員が変わっていなくても最大10年ごとに重任登記を行う必要があり、その都度1万円(資本金1億円超は3万円)の登録免許税や司法書士への報酬が発生します。登記を怠ると「休眠会社」とみなされ過料(罰金)を科されるリスクもありますが、有限会社なら役員任期が無制限のため、こうしたランニングコストと失念リスクが完全にゼロになります。
メリット2:決算公告費用がかからず、財務情報を非公開にできる
株式会社が真面目に決算公告を官報掲載で行う場合、毎年数万円の掲載コストがかかります。有限会社はこの義務が免除されているため、コスト削減になるだけでなく、競合他社や外部に売上規模や利益水準を知られないという情報防衛上の大きなアドバンテージがあります。
メリット3:「2006年以前から続く企業」という歴史と信用の証
現在「有限会社」を名乗っている企業は、例外なく2006年4月以前に設立された法人です。つまり、看板自体が「創業20年以上の事業基盤がある老舗企業」「倒産せずに荒波を乗り越えてきた堅実な会社」という客観的な証明になり、地域や特定の業界内では株式会社以上の高い信用力と社会的評価を獲得しています。