日常的な偏頭痛や緊張型頭痛、あるいは風邪の引き始めであれば、ロキソニン(一般名:ロキソプロフェンナトリウム)を飲むことで痛みが和らぐケースは多々あります。ところが、熱中症に伴う頭痛に対しては「ロキソニンはほぼ効かない」というのが医学界の一致した見解です。
この違いは、痛みの根本的なメカニズムにあります。ロキソニンをはじめとする非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、体内で炎症や痛みを引き起こす発痛物質「プロスタグランジン」の生成を抑えることで効果を発揮します。しかし、熱中症の頭痛は炎症によるものではなく、体内の急激な水分・塩分喪失に伴う脳血流量の低下や血管の過度な拡張、電解質バランスの崩れによって引き起こされているからです。
原因が炎症ではない以上、プロスタグランジンの合成を阻害しても頭痛の引き金は解消されません。「痛いからとりあえず飲む」という対処は効果が得られないばかりか、回復への初動を遅らせる要因にもなりかねないため注意が必要です。