今回の騒動は、日本の食品製造業全体にとっても他人事ではない重い課題を突きつけている。キムチの主原料である白菜は、葉が幾重にも重なった複雑な形状をしているため、農場段階で付着した虫や土砂を完全に取り除くことが極めて難しい野菜の一つとして知られる。
近代的な食品工場では、バキューム洗浄、微細気泡によるジェット水流洗浄、さらには近赤外線やカメラを用いた高精度な光学選別機が導入されている。しかし、白菜の葉の奥深くに潜り込んだバッタのような昆虫は、葉のヒダに隠れて光学センサーをすり抜けてしまうケースが稀に存在する。特にキムチのように生の白菜のシャキシャキとした食感を残す加熱・すりつぶしを行わない製法では、原形をとどめたままカット工程を通過してしまうリスクが排除しきれないのが技術的な死角となっている。
製造現場では、従来の機械選別だけに依存せず、熟練した作業員による目視検査の二重化や、洗浄水圧の最適化といったハード・ソフト両面での抜本的な工程再構築が急ピッチで進められている。