近年の音楽制作ソフトウェア(DAW)の進化は、ピッチ補正や自動チューニングの精度を極限まで高めた。しかし、その副作用として「完璧すぎる平均律の無機質さ」に飽き足らないクリエイターが増加している。あえてキー設定をC♭(ドのフラット)ベースの複雑な旋律に設定することで、プラグイン音源やモジュラーシンセサイザーの内部アルゴリズムが微妙な倍音揺らぎを生み出す現象が発見されたのだ。
「Cとして打鍵するのと、C♭としてマイナス100セントのパラメータを割り当てるのとでは、現代のAIシンセのフィルターの挙動が微妙に変わる」と語るサウンドエンジニアもいる。かつての手書きの記譜法における概念的な違いが、現代ではデジタル信号処理のアルゴリズム上の癖と結びつき、独自のグルーヴ感を生み出している点は非常に興味深い。