この神社を語る上で欠かせないのが、能の大家・世阿弥が描いた謡曲『善知鳥』の世界だ。猟師が親鳥の鳴き声を真似て子鳥を捕らえ、その因果応報によって地獄で苦しむという悲劇的な物語である。親鳥が「うとう」と鳴くと、子鳥が「やすかた」と応える親子鳥の絆が、切なくも生々しく描かれている。
この物語は、単なる昔話ではない。自然との共生や、命の尊さ、そして家族の絆という、現代社会にも通じる普遍的なテーマを内包している。テクノロジーが進化し、人間関係が希薄になりがちな今の時代だからこそ、この哀しい伝説が私たちの心に強く響くのだ。境内にある「うとう塚」の前に立つと、遠い中世の旅人が感じたであろう無常観が、時を超えて伝わってくる。