東映の大部屋時代、小林稔侍の役者人生に決定的な影響を与えた人物がいる。日本映画界の伝説的スター・高倉健だ。売れずに苦しんでいた小林を弟のように可愛がり、食事に連れ出したり演技の助言を与えたりと、公私にわたり温かく目をかけていた。
高倉健からの励ましと、家に帰れば自分を信じて待ってくれる妻の存在。このふたつの支えがあったからこそ、小林は役者を辞めずに辛い下積み時代を耐え抜くことができた。後年、小林は取材で「健さんという偉大な先輩と、文句一つ言わずに家を守ってくれた妻がいなければ、今の自分は絶対に存在しなかった」と語っている。役者としてのブレイクを果たすまでの約20年という長い歳月は、夫婦で勝ち取った試練の年月でもあった。