警視庁内部における本庁と所轄の熾烈な対立構造。それを象徴していたのが、香坂の同僚でありライバルでもある山田春彦役の岡田将生、そして捜査一課長として圧倒的な威厳と恐怖を放った小野田義信役の香川照之の存在だ。
特に岡田が見せた冷徹さと人間味の間で揺れ動く繊細な情念と、香川が繰り出す画面を圧迫するほどの顔芸と怪演。ふたりが交わす視線の火花は、物語の伏線を複雑に絡み合わせ、誰が真の敵であり味方なのかを最後まで見えなくさせた。巨大な警視庁という組織の歪みが彼らの口論一つ一つに凝縮されており、その演技合戦は今なお語り継がれる名シーンとして異彩を放っている。