「醜女」という語句には複数の読み方が存在し、それぞれが使われる文脈や歴史的背景が異なります。現代の辞書や古典注釈書において確認できる主要な読み分けは以下の通りです。
最も古く格式の高い読み方は「しこめ」です。上代(奈良時代以前)の日本語において「しこ」は強い霊力や荒々しい性質を指し、「め」は女性を表しました。神話や歴史劇、古典文学で用いられる場合は、原則として「しこめ」と読まれます。
一方で、近世以降の俗語や近代文学のルビとして定着したのが「しこおんな」や「ぶおんな」、そして音読みの「しゅうじょ」です。現代の国語辞典では、「しこめ」「しこおんな」の双方が「容姿の醜い女」「悪態をついて罵る言葉」として掲載されていますが、ニュアンスの重層性に違いがあります。
漢字「醜」の成り立ちを見ると、偏の「酉(酒樽)」と旁の「鬼(死者の霊魂・怪異)」から構成されており、原義は「怪異に満ちていて恐ろしい」「人に不快感や畏怖を与える」状態を指していました。古代の日本人にとって「醜女」とは、単に顔立ちが整っていない女性ではなく、「触れてはならない異界の恐ろしい力を持った女性」を意味していたのです。