観客を映画館のシートに深く引きつける音響演出の秘密は、決して大音量の迫力だけにあるのではない。木村絵里子が最も得意とする演出テクニックの一つが、計算し尽くされた「静寂」の配置だ。
爆発音や激しいアクションシーンの直前にあえて訪れる無音の瞬間。あるいは、登場人物の吐息だけが響く静けさ。この「静」と「動」のコントラストが、劇場版アニメならではの没入感を爆発的に高める。音を敷き詰めるのではなく、引き算によって感情を揺さぶる。その緻密なサウンドデザインこそが、ヒット作を生み出し続ける最大の仕掛けなのだ。