太平洋戦争の傷痕が残る昭和20年代後半、日本人の栄養状態は決して良好とは言えなかった。食材の栄養素を逃さず、限られた燃料でいかに効率よく調理するか。この大きな社会的課題に立ち上がったのが、広島のアルミニウム鋳造技術者たちだった。
航空機パーツなどの高度な鋳造技術を持っていた広島アルミニウム工業(現HALムスイ)は、米国の無水調理器具に着想を得て、日本の食生活に合った鍋の開発に着手。試行錯誤の末に完成したのが「無水鍋®」の原型である。
当時は全国の「生活改善指導員」や栄養士が実演販売を行い、栄養素を損なわない調理法としてまたたく間に家庭へ普及した。ビタミンやミネラルを逃さない調理性能は、当時の主婦層に衝撃を与えた。その機能美と堅牢さは時を超え、現在も「KING無水鍋」としてそのDNAを愚直に受け継いでいる。