甲府駅北口から徒歩でわずか数分。瀟洒な南欧風の回廊が広がるサドヤ(SADOYA)は、1917年創業という途方もない歴史を誇る名門だ。創業者の今井裕景氏が、生食用の甲州ブドウからヨーロッパ系専用品種への大転換を決断したことで、この地の醸造哲学は大きく塗り替えられた。
地下に広がる貯蔵庫には、かつて実際に使われていた巨大なコンクリートタンクや古びた木樽が静かに並ぶ。ここでじっくりと熟成されるカベルネ・ソーヴィニヨンやセミヨンを用いたフラッグシップは、重厚でありながら凛とした酸を保つ。街の喧騒のすぐ隣に、百年の時を刻む静寂が存在する事実に、訪れる者は皆息をのむ。