作品の印象を決定づけたのは、決して主役級のふたりだけではない。劇中に登場する数々のサブキャラクターたちは、物語の余白を埋める以上の重要な役割を果たしている。
特に免許センター(DMW)で働くナマケモノのフラッシュは、アニメーション史に残る名場面を生み出した。お役所仕事の遅さと官僚主義に対する強烈な風刺を、ナマケモノのスローモーションという極上の視覚的ギャグへと昇華させた手腕は見事というほかない。急ぐジュディの焦りと、どこまでもマイペースなフラッシュの落差。あの数分間のシーケンスだけで、映画全体のトーンが決定づけられたと言っても過言ではない。
さらに、ドーナツが大好きなチーターのクロウハウザーや、体長数センチでありながらマフィアの頂点に君臨するトガリネズミのミスター・ビッグなど、視覚的ギャップとキャラクター性を巧みに融合させた配役が光る。彼らは単なるお笑い担当ではなく、都市ズートピアという巨大な社会構造の複雑さと多様性を体現する「生き証人」なのだ。