なぜ「必」は「心」と似ているのに、書き順が大きく異なるのだろうか。その理由は、漢字の成り立ち(形声・象形)に秘められている。
「心」は人間の臓器である心臓の形を模した象形文字だ。一方、「必」の古代文字(甲骨文字や金文)を調べると、弋(よく・杭のようなもの)に柄を取り付けた工具や、分断する器具を表す形状から派生したとされる説が有力である。つまり、見た目こそ「心に斜め棒が刺さった形」に見えるが、構造的には「心」とは全く別の系統から進化してきた文字なのだ。中心の「ノ」が骨組みの主軸となるため、最初の一画として打たれる必然性があった。