近年の産婦人科学会で最も注目されているのが、胎盤から分泌される「GDF15」というホルモンです。このホルモンが脳の嘔吐中枢を刺激することが、つわりの直接的な引き金であることが分かってきました。
つわりが全くない、あるいは極めて軽い人は、妊娠前からこのGDF15の血中濃度が比較的高めであったり、脳の受容体がこのホルモンに対して「慣れ」を起こしているケースが多いのです。つまり、急激なホルモンの増加に対して脳が過剰反応を起こしにくい遺伝的な強みを持っていると言えます。体質だから仕方ないと諦められていた領域に、明確な分子生物学的理由が見出された瞬間でした。