展示されているコレクションの美術史的価値は極めて高い。19世紀イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動を主導したウィリアム・モリスのデザインによる作品群は、植物や自然のモチーフが流麗なラインで表現されており、見る者の心を穏やかに解きほぐす。素朴でありながらどこか気品漂う佇まいは、職人技の極致だ。
一方で、アメリカのアール・ヌーヴォーを牽引したルイス・カムフォート・ティファニーの手によるファブリルガラス作品は、まったく異なる輝きを放つ。乳白色のオパールセントガラスが織りなす複雑なグラデーションと光の屈折は、まるでガラスそのものが呼吸しているかのようだ。
これら至高のガラスアートを包み込む器となっているのが、細部にまで意匠を凝らしたゴシック・リバイバル建築の構造である。尖頭アーチやリブ・ヴォールトを思わせる天井構造が、1800年代のヨーロッパへとタイムスリップしたかのような錯覚を呼び起こす。那須ステンドグラス美術館は、展示物と建築が互いを引き立て合う、類まれな総合芸術空間なのだ。