祈祷を受けるにあたっては、決して侵してはならないとされる幾つかの禁忌が存在する。宮司の証言や古くからの言い伝えによれば、単なる興味本位や冷やかしでの昇殿は厳禁とされ、祈祷の最中に後ろを振り返ることや、授与された御札を粗末に扱うことは自らに災いを呼び戻す行為と戒められている。厄を落とすということは、自らの内にある悪意や執着と対峙することに他ならず、中途半端な覚悟での参拝は精神的な危険を伴うからだ。
現地へのアクセスは決して容易ではない。JR土讃線の阿波川口駅から車を走らせると、対向車とのすれ違いすら困難な断崖絶壁の隘路が延々と続く。近年は路面の整備や案内表示の改善が進んだものの、落石や濃霧のリスクは常に隣り合わせだ。公共交通機関を利用する場合はタクシーの手配が不可欠であり、冬期には凍結対策を怠れば容易に立ち往生する。この人を寄せ付けない隔絶された地理的条件そのものが、聖域の厳格さを守り抜く天然の防壁となっている。