西之島は、2013年の噴火再開以降、地球上で最もダイナミックに形を変えてきた火山島だ。かつて島に生息していた旧来の生物群集は、幾度となく流出した熔岩と大量の火山灰によってほぼ壊滅したと考えられていた。科学者たちが期待していたのは、風や海流、あるいは鳥の体に付着して運ばれてくる微小な種子や昆虫から始まる、完全な「一次遷移(ゼロからの生態系形成)」の観察だった。
しかし、現実は甘くなかった。激しい噴火の最中も、旧島のわずかな崖の亀裂や地下の空洞に潜み、地熱と苛烈な環境を生き延びた個体群が存在していたのだ。熱流と火山ガスが充満する不毛の地で、彼らはひっそりと息を潜め、嵐が走り去るのを待っていた。