かつて美容業界では「人中短縮」の施術やリップラインをオーバーに描くメイク術が過熱気味に持ち上げられていた。短過ぎる人中はどこか幼さを強調し、親しみやすさを与える一方で、重厚なドラマやシックなモードファッションにおいては時にミスマッチを起こすことがある。
転機となったのは、近年の世界的なナチュラル志向と、個性の多様性を再評価するムーブメントだ。画一的なフィルター加工写真に疲弊したユーザーたちは、徐々にスクリーン越しに滲み出る「本物の骨格の美しさ」を求めるようになった。鼻の下の伸びやかなラインは、顔全体に上品な縦の余白をもたらし、憂いを帯びた表情や知的な微笑みを劇的に引き立てる。コンプレックスと捉えられがちだったパーツが、一転して「類まれな個性の証」として受け入れられ始めたのだ。