2026年の現在、生成AIは極めて美麗で完璧なイラストを数秒で出力できるようになった。しかし、皮肉なことに、人々が今最も惹かれているのは、AIには決して描けない「意図された脱力感」である。狂いなく描かれた美少女や精密な背景グラフィックの洪水の中で、MSペイントで数分で描いたようなあのチープな線画は、砂漠のオアシスのように人々の視線を受け止める。
タイムパフォーマンス(タイパ)を追求し、1.5倍速で動画を消費する現代人にとって、難解なテキストを読むことはコストでしかない。一目で「あ、こいつ何も考えてないな」と理解できる記号性は、究極のタイパコンテンツと言える。高度に発達した情報社会に対する、これ以上ないアンチテーゼがここにある。