都内のIT企業に勤める30代男性は、ある日突然、見知らぬアカウントによって自らの顔写真と居住地域をネット上に晒された。きっかけは、近所の公園周辺でスマートフォンの位置情報ゲームをしていただけに過ぎない。「不審な行動をとる男がいる」「容姿からして怪しい」という偏見に満ちたポストは、瞬く間に数万回リツイートされた。
監視カメラの普及とスマホ撮影の常態化が生んだのは、国民全員が「互いを監視し合うディストピア」だ。少しでも社会の標準から外れた振る舞いをする者がいれば、すぐに動画や写真が撮影され、尾ひれがついて拡散される。「事件が起きてからでは遅い」という正義感を盾にした晒し上げ行為が、実際には無実の市民を精神的な死へと追い詰めている。