インターネット上の掲示板やSNSでは、「かゆみには手持ちのステロイド軟膏を塗れば一発で治る」「熱いシャワーで徹底的に消毒すべき」といった危険な自己療法が散見されますが、専門医の立場からは極めてリスクが高い行為です。
もし、かゆみの根本原因がカンジダなどの真菌感染であった場合、ステロイド外用薬を塗布すると局所の免疫が抑制され、カビが爆発的に増殖して病状が深刻化します。また、強いステロイドを長期間漫然と使い続けると、ただでさえ薄い肛門の皮膚がさらに萎縮し、わずかな刺激で亀裂が生じる脆弱な皮膚になってしまいます。
現場の診察で最も多いのは、「綺麗好き」な人ほど重症化しているというパラドックスです。排便のたびに石鹸でゴシゴシ洗ったり、アルコール成分入りのウェットティッシュで拭き取ったりする行為は、天然の皮脂バリアを完全に剥ぎ取っています。乾燥が気になる段階であれば、純度の高い白色ワセリンで薄く油膜を張り、便や摩擦の刺激から物理的に保護するケアが安全かつ効果的です。