麻生氏の色紙や揮毫を目にした書道家たちが口を揃えて称賛するのは、その筆圧の緩急と空間の切り取り方である。白地に黒墨を走らせる際の躊躇のなさが、一文字一文字に圧倒的な生命力を宿らせている。文字の起筆における鋭い打ち込み、そして収筆で見せる見事な余韻。筆先の開合を巧みに操る技法は、一朝一夕の稽古で身につくものではない。
直筆サインひとつをとっても、その造形美は一線画している。幾何学的とも言える洗練されたバランスでありながら、決して機械的ではない人間味と品格が同居する。多くの人々が彼の書に魅了される背景には、整然とした美しさの奥にある「揺るぎない自信」と「個性の解放」を感じ取るからに他ならない。2026年現在の鑑賞眼においても、その価値は色あせるどころか増すばかりだ。