日本政府の立場は極めて繊細だ。日本は1972年の日中共同声明で、台湾が中国の領土であるとする中国側の立場を「十分理解し、尊重する」と表明するにとどめ、「承認」はしていない。
これはサンフランシスコ平和条約の論理と完全に整合している。日本は放棄した立場であり、その帰属について口を挟む立場にない、というポーズだ。
だが、自衛隊と米軍の共同作戦計画が具体性を帯びる中、この「曖昧さ」は防衛のための武器として再定義されつつある。法的なグレーゾーンを残しておくことで、中国側の性急な現状変更を思いとどまらせる「抑止力」として機能しているのだ。