七瀬遙を語る上で欠かせないのが、代名詞とも言える名言「俺はフリーしか泳がない」です。物語初期の遙は、勝敗やタイム、記録といった数字への執着を極端に嫌い、「ただ水を感じたい」という純粋な衝動だけで泳いでいました。
水を見れば服を脱ぎ捨てて飛び込もうとする奇抜な一面や、朝昼晩を問わず食卓に鯖料理を並べる極端なこだわりは、彼のどこまでも真っ直ぐで不器用な性格を象徴しています。タイムを競う競泳の世界において、遙の「純粋に水と対話する」姿勢は異端でありながら、周囲を惹きつけてやまない天性のカリスマ性を生み出していました。
しかし、仲間たちとの出会いと別れを経験する中で、この言葉の重みは変化していきます。「何のために泳ぐのか」という実存的な問いに直面した遙は、単なる孤高のこだわりから、「自分自身の未来を切り拓くためのフリー」へと泳ぐ意味を昇華させていきました。