1998年、日本中が衝撃に包まれた。フジテレビで確固たる地位を築いていた人気アナウンサーが、伝統ある歌舞伎の世界へ足を踏み入れることになったからだ。相手は、歌舞伎界の重鎮である坂東三津五郎 (10代目)。伝統芸能の重厚な看板を背負う名門への嫁入りは、華やかな芸能界のトピックにとどまらず、社会的な関心事として連日大きく取り上げられた。
当時、ニュース番組の顔として日々多忙を極めていた彼女にとって、梨園の妻という全く異なる役割を受け入れることは並大抵の覚悟ではなかった。周囲からの熱い視線と過剰な期待。伝統文化を守るしきたりと、報道の現場で培った近藤自身の自立心は、当初から密かな擦れ違いをはらんでいたのかもしれない。