椎名桔平の「実家」に関する確定的な公式情報は、驚くほど少ない。所属事務所や制作プロダクションが、家族構成や実家の所在地を系統的に公開した記録は確認できない。これは、日本の芸能界においては極めて一般的なスタンスで、むしろ本人が意図的に線引きをしてきた可能性が高い。ただし、ゼロではない。椎名桔平は過去のインタビューや自著『哀しみの向こうに』(2007年、幻冬舎)などで、自らの生い立ちについて断片的ながら具体的に語っている。その積み重ねから浮かび上がるのは、三重県で生まれ育ち、青年期に俳優を志して上京したという、シンプルにして揺るぎない事実だ。
報道各社・関係者の証言によると、椎名桔平が生まれ育ったのは三重県の内陸部で、決して華やかな芸能一家ではなく、ごく一般的な家庭環境だったという。本人が語るところによれば、少年時代は身体を動かすことが好きな、どこにでもいる子供で、芝居に興味を持ったのは高校生以降のことだった。ここで重要なのは、彼が自らの「実家」や家族について、過度に美化することも、逆に悲惨な物語として語ることも決してなかった点だ。むしろ、どこか距離を置いて淡々と語るその姿勢こそが、椎名桔平という俳優の本質を物語っている。