ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、菌体にある鞭毛を回転させて胃の粘液層を移動し、強酸性の胃内でも生き残る特殊な酵素(ウレアーゼ)を持っています。感染初期の段階では急激な激痛が走ることは稀で、多くの場合は数週間から数か月をかけてじわじわと粘膜に炎症を広げていきます。
日頃から以下のような不調を感じている場合、ピロリ菌による慢性胃炎が背景にある可能性を疑う必要があります。
- 空腹時や食後の胃痛:胃粘膜のバリア機能が低下し、胃酸の刺激でキリキリとした痛みが生じる。
- 持続する胃もたれ・膨満感:消化機能の低下により、食後いつまでも胃に食べ物が残っている感覚が続く。
- げっぷ・胸やけ・呑酸:胃運動の乱れによって胃酸が逆流しやすくなり、酸っぱい液体が上がってくる。
- 原因不明の口臭悪化:胃内の炎症や消化不良によって発生した揮発性ガスが呼気として排出される。
- 便の異常・黒色便:胃潰瘍等によって胃内で出血が起きると、便が黒っぽくなる(タール便)場合がある。
「市販の胃薬を飲むと一時的に治まるから」と自己判断を続けることは非常に危険です。薬によって症状が一時的にマスキングされている間にも、ピロリ菌による組織破壊は静かに進行していきます。