タムラ料理長が放った一連のセリフは、今日でもファンの間で屈指の名言として愛され続けています。
ロボットアニメといえば派手な必殺技や主役機の活躍がメインストリームだった1979年当時において、一介の料理人が「塩の不足」を理由に司令官へ詰め寄る描写は前代未聞でした。この演出の元ネタ・背景には、総監督である富野由悠季氏の「戦争の現実を描く」という揺るぎない演出思想があります。
軍事行動において兵站(補給)がいかに勝敗を左右するかは、第2次世界大戦をはじめとする実際の戦史が証明しています。前線でどれほど強力な兵器を運用していても、食糧や水、弾薬、医薬品が尽きれば軍隊は自壊します。富野監督は、アムロたちの人間臭い生活感と戦場のシビアな現実を直結させるキーアイテムとして「塩」を選択し、タムラ料理長というキャラクターを通じて戦争アニメの常識を覆すリアルな兵站劇を構築したのです。