教科書にも掲載され、多くの日本人の心に刻まれている絵本『おとなになれなかった弟たちへ』。太平洋戦争中の飢えと混乱の中で命を落とした幼い弟への悔恨を描いたこの作品は、今まさに世界各地で紛争が続く現代において、かつてないほど重い意味を持って迫ってくる。
彼が描いた戦争の悲劇は、政治的なスローガンではない。ただただ悲しく、理不尽に奪われていく命の尊さと、それを守れなかった個人の痛切な叫びだ。この絵本を再び手に取る大人が増えている背景には、情報過多の時代だからこそ、本質的な「命の手触り」を確かめたいという切実な願いがある。